生徒の保護者に
「音大を卒業したらどうなるのですか?」と質問をされて困りました。 
私個人の考えですが
音楽を学ぶというのは『道楽』だと思います。
それは、人間が生きるために必要な要素の中に
音楽というものは含まれないと思うからです。
音楽は絶対的要素ではなく付加価値として見做されるからです。
生活にゆとりが出ることで初めて
付加価値である音楽やその他芸術への興味が出たりするのではないでしょうか?
また、音楽大学に進学するまでや進学後にかかった費用を
卒業後にどのくらいかけてペイできるのでしょうか?
このような採算性を考えて音楽大学へ進学される方って
世間が思っているよりも少ないのではないかと考えます。
先日も
”音楽大学を卒業して演奏活動をされている方が
未だにご両親からの資金援助をうけなければ生活ができない”
といった内容を目にしたばかりです。
音楽大学を卒業しても満足に食べていけないどころか
両親に支えられなければ仕事すらできないのは非常に情けない限りです。
こういう方ばかりではないでしょうが
世間一般的には
きちんと就職すればこれまでにかかった学費ぐらいは数年で取り戻せるはずが
夢を追い続けることで両親の経済力にずっと頼り続けなければならない人が音大卒にいるわけです。
音楽教室の講師になったとしても給料の保証などどこにもありません。
生徒が0人なら収入ゼロなのです。

自分が得意なことが音楽だけならば
それ以外の音楽を生かした仕事をするために必要な要素を
学生時代に学んだ方が実は賢い生き方が出来るのではないかと思うことが多いです。
演奏が上手でも宣伝が下手ならピアニストとしても音楽指導者としても
誰かの後ろ盾がないかぎりは難しいものがあるでしょう。
音楽を生業(なりわい)としたい人間ならそれを優位にさせる方法も学ぶべきです。
私の知る限り、音大卒の進路はごく一部がプロのピアニストとして花開く以外には
教員や指導者、楽器店の販売員や社員、楽譜の出版、楽器メーカーのデモンストレーター
音楽教室の受付、結婚式場のブライダルプレイヤー、葬儀場のセレモニープレイヤー
ライブ活動中心のミュージシャンなどでしょうか。
もしくは家事手伝いや専業主婦など働かずとも暮らしていける立場の方など。
しかし、本当に音楽で食べて行きたいならば
経済学や社会学などの知識も重要だと感じます。
音楽で大成するためにどのような要素が欠けているのかを考えるのが
音大などに通っている間にできることであり
それを卒業後に考えることはとても遅咲きになることを覚悟する必要があるのでしょう。
音大に通っている間に音楽しか学ばないということは
世間の流れを知る手立てを自ら失っていることと等しく
たとえ音楽系の業種に就けたとしてもその後が難しいでしょう。

視野を広げるための努力を行うべきか否か・・・。