私がまだ20代前半の頃にお世話になった先生のお話です。
通常のレッスンとは異なり
指導者向けに月に1回のレッスンが開講されていました。
当時、音楽大学でも教鞭を執られていた先生のもとで
私はグループレッスンに通うことになりました。
そこではとても得られるものが多かったり
先輩講師さんの中に入ることで得られる知識なども沢山あって
とても良い経験ができたと思います。
このレッスンは1クール10回程度だったと思いますので
年度が変わったら継続するかの確認がされていたと記憶しています。
そこで私はひとまず1クール受講後に一旦辞めることにしました。

そこからしばらく経ち、周囲の先輩講師さんの中で
この指導者向けのレッスンについてのあまりよろしくない評判が聞こえてきました。

「先生はとても怒りっぽくなった。」
「きっと更年期のイライラをぶつけているだけよ。」など
聞くに耐えない噂が次々と聞こえてきました。
でも、私はとても良くしていただいた経験もあるので
それらの言葉を鵜呑みにせずに次のクールで
今度はグループレッスンではなく個人レッスンとして受けてみることにしました。

次のクールのレッスンになり
私もなんだかんだと怖いの半分楽しみ半分で初回レッスンを受けてみました。
ところが前評判のようでもなく普通にレッスンを楽しめました。
というよりも、中身の濃い、とても為になるレッスンでした。
このレッスンでは実は先生からこれまでのことを少し伺うことができましたが
結局は厳しいレッスンについていけなかった先輩講師さんたちが
こぞって愚痴をこぼしていた・・・ということだったようです。
私にとっては本当に良い指導をしてくださった先生なのです。

このように
悪い噂話というのはたちまち色々な手法で広まっていくスピードも非常に速い
とても厄介な存在なのです。
逆に良い噂話はまったく速度を上げることなく、誰も広めることもせず
思った以上に話が誰にも伝わりません。

確かに加齢により考え方が変わってきたり
時代により生徒の習う姿勢や考えが変わってくることで
指導者と生徒のミスマッチの事例は山ほどあると思うのです。
このミスマッチが起こったときにお互いがどう考えるのかによって
その後の流れが随分と変わっていくでしょうし
もしかしたら悪い噂を立てる人も出てくるでしょう。
でも、悪い噂話をする多くはまったく関係のない人々なのです。

時代の移り変わりと指導者自身の加齢による考え方や方向性の変化に対して
どう向き合っていけば良いのか
これからの大きな課題のような気がします。